講演会レポート

(第10回勉強会)平成9年4月 講師 山本 寿仁氏

土 の 魅 力

 土、泥への深い愛情

 今回は岡崎で建設業を営む山本氏に、泥壁についてお話を伺いました。

 家業である左官業を引き継いだのが25年前。当初は特に思い入れがなかった土や泥に深い愛着を持つようになったのは、次第に崩れていく蔵の修復に携わってからとのことです。

 岡崎市の周辺に点在する蔵のスライドを見ながら、話は始まりました。

 「農地解放前」には大活躍していた蔵も、今では漆喰が禿げて、土壁が露出しています。今なら修復できるからと話を持ちかけても、約500から600万円の費用を出せる人は、なかなかいないようです。

 風雨にさらされ、デコホコになった泥壁、泥の間にのぞく、わら綱(さげ綱)の表情、梁や柱にわらを巻き、土を塗り廻してある昔の鍛冶屋の仕事場、こうぼ菌がしみ込んでいる味噌蔵の荒壁等々、味わい深い映像が写し出されました。

 土壁の表情

 後半のスライドは山本さんが施行した作品です。

 土は採取する場所で、赤・黄灰色・白・と色々に違いがあります。そしてその土に何を混ぜるかで、割れの大きさ、表面のざらつきか変わります。

 下地も、バラ板にビニ−ルメッシュを張ったり、プラスターボードにジョイント処理をしないで泥が塗れるそうです。

 外部に荒壁を塗るときはその上にポリマー処理をする事で、崩れを止める事も出来るそうです。

 金ゴテできれいに仕上げられた平らな漆喰も美しいですか、大いにデコボコして、大きく割れの入った泥壁にも心をひかれました。

 左官仕事の奥深さを堪能

 今回の講演会で、土壁・大津壁・漆喰の違いが判ったのは収穫でした。

 土壁は土とスサと水を混ぜたもの。漆喰は石灰とスサと水を混ぜたもの。そして大津壁はその中間、つまり土と石灰とスサと水を混ぜて作るのでした。

 その他、気硬性の塗り壁はジェットヒーター等で急速に乾燥しても、ゆっくり乾かしても、仕上がりは同じである事。

石膏系の材料でチリ廻りを塗っておけば、石膏は膨張材である事からチリが切れにくい事。

古い土の方が強いのは、ワラ等が溶け込んでいて補強材の役目をしているのだろうとの事。四国のたたきは、強度を出すために貝灰を便っている事。

 大分県では生石灰を混ぜている事。

 土佐漆喰は 糊を梗わずに、わらスサを腐らせて作った黄色い液を加えて、作業性をよくしている事。

 服部長七は、石灰とにがりとサバ土を混ぜて、現在のコンクリ―トにまさる土木工事をしている事、等々、左官仕事の奥の深い話をたっぷり堪能させていただきました。

(寺川)

 

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